焼きそばとシャケ

今日の晩ご飯は何にしようかと、脳内に自宅の冷蔵庫の中身をインプットしながら考えた。

そういえば、鍋用に買った豚肉とキャベツともやしが余っていたと思い、帰り道のスーパーで焼きそばの麺を買った。

【3袋100円】

一人暮らし民にはありがたい数字だった。

 

帰ってフライパンに火をかけ、油をひき、冷蔵庫で私の帰りを待っているであろうメンバーたちを炒めた。

さっき買った麺を投入し、水を少し加えてほぐしながら、付属の粉末をパラパラとかけていく。

この粉末をかけると、どうしてこんなにも美味しくなるのだろうといつも思う。秘密のパウダーなのだろうか。

 

出来上がった焼きそばをお皿に盛り付け、かつお節をふった。するとかつお節は熱気をまとい、まるでフラダンスかのように踊っているように見えた。

焼きそばを作り終えた後、朝作っておいた、お味噌汁を温めた。一人暮らしをして一年半が経つが、初めてちゃんとしたお味噌汁を作った。

 

「いただきます」と誰もいない部屋で手を合わせて呟き、焼きそばを一口啜った。

 

すると、頭の中にお皿に盛られた鮭の塩焼きが浮かんだ。そういえばそうだった。我が家では母が焼きそばを作るときは、いつもきまって鮭の塩焼きが出てきた。あとお茶碗にもらえた山盛りのご飯も一緒に。

 

何でいつもその組み合わせなの?と聞いては、
「魚は体に良いからね」と母は答えていた。

その度に私は「焼きそばは炭水化物で、ご飯も炭水化物だから、ご飯は明日の朝に食べるね」と言った。

母にとって私はいくつ歳をとっても子供なのだろう。いつまでも私が食べ盛りの中学生のままの胃袋だと思っているらしい。

 

そんな懐かしい思い出を回顧しながら、焼きそばを食べていたら、そんな暖かい光景を思い出し、目頭がジーンと熱くなった。

 

今度実家に帰ったら、お母さんの作る焼きそばが食べたいな、もちろん鮭の塩焼きも一緒に。

その時はご飯も大盛り食べるね。

あと、私お味噌汁作れるようになったんだよ。ちゃんとかつお節から出汁をとって、わかめ、油揚げ、ネギを入れて作ったんだ。

 

増えるわかめって少し入れただけなのに、あんなに増えるんだね、作るまで知らなかった。

そんなことを心の中で唱えながら、いつもより少ししょっぱい焼きそばを食べた。